パブリックDNSは、ドメイン名をIPアドレスへ変換する問い合わせ先を、プロバイダー標準から別の事業者へ切り替える設定です。
DNSを変更することで、ネットの体感速度向上につながったり、DNSによっては危険サイトや広告配信ドメインのブロックにも使えます。
本記事では、主要なパブリックDNSの一覧と、それぞれの特徴、さらには設定方法を詳しく解説します。
主要パブリックDNS一覧
家庭や個人PCで使いやすいパブリックDNSを、運営元、アドレス、用途で比較します。IPv6対応回線では、IPv4側だけ変えても端末がIPv6側のDNSを使い続ける場合があります。
| サービス | 運営元 | IPv4 | IPv6 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| Cloudflare 1.1.1.1 | Cloudflare | 1.1.1.1 1.0.0.1 | 2606:4700:4700::1111 2606:4700:4700::1001 | フィルターなし、暗号化DNS、Families |
| Google Public DNS | 8.8.8.8 8.8.4.4 | 2001:4860:4860::8888 2001:4860:4860::8844 | フィルターなし、互換性確認 | |
| Quad9 Secure | Quad9 | 9.9.9.9 149.112.112.112 | 2620:fe::fe 2620:fe::9 | 既知の危険ドメイン対策 |
| OpenDNS | OpenDNS / Cisco | 208.67.222.222 208.67.220.220 | 2620:119:35::35 2620:119:53::53 | 家庭内ルーター、小規模ネットワーク |
| AdGuard DNS Default | AdGuard | 94.140.14.14 94.140.15.15 | 2a10:50c0::ad1:ff 2a10:50c0::ad2:ff | 広告・トラッカー対策 |
| CleanBrowsing Family | CleanBrowsing | 185.228.168.168 185.228.169.168 | 2a0d:2a00:1:: 2a0d:2a00:2:: | 家庭向けフィルター、SafeSearch固定 |
| Control D Unfiltered | Control D | 76.76.2.0 76.76.10.0 | 2606:1a40::0 2606:1a40:1::0 | 無料リゾルバー、暗号化DNS |
各DNSの特徴
Cloudflare 1.1.1.1
Cloudflare 1.1.1.1は、CDNやセキュリティサービスで知られるCloudflareが提供する公開DNSです。標準の1.1.1.1はフィルターなしのリゾルバーで、DNS over HTTPSやDNS over TLSの設定情報も公式ドキュメントにまとまっています。
Cloudflareを選ぶ理由は、標準DNS、暗号化DNS、家庭向けフィルターを同じ事業者内で選べる点です。フィルターなしで使い始め、必要に応じてFamiliesへ移行できます。
Cloudflare for Familiesは、Cloudflare 1.1.1.1の家庭向け版です。マルウェアのみを止める1.1.1.2と、マルウェア・成人向けコンテンツを止める1.1.1.3に分かれます。専用アプリなしでルーターへ入れやすい反面、カテゴリを細かく調整する用途には向きません。
| Cloudflare for Families | IPv4 | IPv6 | 内容 |
|---|---|---|---|
| Malware Blocking | 1.1.1.2 1.0.0.2 | 2606:4700:4700::1112 2606:4700:4700::1002 | マルウェア・フィッシング対策 |
| Malware and Adult Content | 1.1.1.3 1.0.0.3 | 2606:4700:4700::1113 2606:4700:4700::1003 | マルウェア対策 + 成人向け制限 |

Google Public DNS
Google Public DNSは、Googleが提供する無料の再帰DNSリゾルバーです。Googleの説明では、DNS応答の速度、セキュリティ、結果の正確さを高める目的のサービスで、DNSホスティングやマルウェアブロック用サービスではありません。
IPv4は8.8.8.8と8.8.4.4、IPv6は2001:4860:4860::8888と2001:4860:4860::8844です。古いルーターでも設定例を見つけやすく、接続不良の切り分けに使いやすいDNSです。広告ブロックや子ども用制限は別サービスで補う必要があります。

Quad9 Secure
Quad9は、スイスを拠点とする非営利組織が運営する公開DNSです。プライバシーとセキュリティを前面に出しており、Secureサービスの9.9.9.9では、複数の脅威インテリジェンス提供元の情報を使って危険ドメインをブロックします。
DNS over TLSとDNS over HTTPSにも対応しています。ウイルス対策ソフトの代わりにはなりませんが、マルウェア配布サイトやフィッシングサイトをDNSで弾きたい場合に向いています。脅威ブロックを使わない場合は、Quad9 Unsecuredのアドレスを設定します。

OpenDNS
OpenDNSは、Cisco系のDNSサービスです。家庭用ルーターや小規模ネットワークでの利用を想定した案内が多く、通常のネームサーバーは208.67.222.222と208.67.220.220です。
OpenDNS Homeはアカウントを作ってフィルタリングや統計を使う構成です。FamilyShieldは208.67.222.123と208.67.220.123を使う別設定なので、通常DNSと混同しないでください。細かい管理をしたい家庭ではOpenDNS Home、設定だけで済ませたい場合はFamilyShieldという分け方になります。

AdGuard DNS
AdGuard DNSは、広告ブロッカーやVPNでも知られるAdGuardのDNSサービスです。Defaultサーバーは広告配信ドメインやトラッカーをDNSで減らす設計で、スマホ、ルーター、スマートテレビなどにも設定できます。
AdGuard DNSにはDefault、Non-filtering、Family protectionがあります。Family protectionは広告・トラッカーに加え、成人向けコンテンツやSafe Searchも扱います。DNS方式の広告ブロックは万能ではないため、表示崩れや動画再生の不具合が出たらNon-filteringやCloudflare 1.1.1.1へ戻して確認してください。

CleanBrowsing
CleanBrowsingは、DNSベースのコンテンツフィルターを提供するサービスです。無料フィルターはSecurity、Adult、Familyの3種類に分かれ、家庭内の端末やルーターへ設定しやすい構成になっています。
Family Filterは成人向けサイトを止め、GoogleやBingなどのSafe Searchも固定します。プロキシやVPN回避用ドメイン、混在コンテンツも広めに止めるため、Cloudflare for Familiesより制限が強く出る場面があります。学校や家庭で「強めに止める」用途に寄せたDNSです。
| CleanBrowsing | IPv4 | IPv6 | 内容 |
|---|---|---|---|
| Security | 185.228.168.9 185.228.169.9 | 2a0d:2a00:1::2 2a0d:2a00:2::2 | マルウェア、フィッシング、迷惑ドメイン |
| Adult | 185.228.168.10 185.228.169.11 | 2a0d:2a00:1::1 2a0d:2a00:2::1 | 成人向け + 危険サイト対策 |
| Family | 185.228.168.168 185.228.169.168 | 2a0d:2a00:1:: 2a0d:2a00:2:: | 成人向け、回避系、混在コンテンツ、SafeSearch固定 |

Control D
Control Dは、Windscribeと関係の深いDNSサービスで、無料リゾルバーと有料のカスタムDNSを用意しています。無料リゾルバーはUnfilteredのほか、マルウェア、広告、Family Friendlyなど用途別に選べます。
DoH、DoT、DoQなど暗号化DNSの選択肢が多く、細かいルール作成や端末別の管理もできます。無料リゾルバーだけならアカウントなしで使えますが、管理機能を使う場合はControl D側の設定画面を使う構成になります。
パブリックDNSで変わること
DNSは、example.comのようなドメイン名をIPアドレスへ変換する仕組みです。JPNICはDNSを、ドメイン名とIPアドレスを対応づける「インターネットの住所録」にあたる仕組みとして説明しています。
DNSを変えると、Webサイトへ接続する前の名前解決先が変わります。速いDNSへ変えると初回接続の待ち時間が短くなる場合があり、フィルター付きDNSへ変えると一部の危険サイトや成人向けサイトをDNS段階で止められます。
一方で、回線速度そのものが速くなるわけではありません。動画のダウンロード速度やゲームの通信遅延は、DNS変更だけでは解決しません。DNS変更で効くのは、主に名前解決の応答とフィルタリングです。暗号化DNSを使う場合も、通信全体が匿名化されるわけではありません。
DNSの設定方法
DNSは端末ごとにも、ルーター側でも変更できます。1台だけ試すなら端末側、家族のスマホやゲーム機までまとめて変えるならルーター側で設定します。
設定前に確認すること
- 現在のDNSアドレスを控える
- IPv6対応回線ではIPv6 DNSも設定
- 会社、学校、ホテル、公共Wi-Fiでは変更不可の場合あり
- VPN利用中はVPN側のDNSが優先される場合あり
- ブラウザーのセキュアDNSがOS設定を上書きする場合あり
家庭内の全端末へ反映したいなら、ルーター側でDNSを変えると端末ごとの作業を減らせます。特定のPCやスマホだけ変えたい場合は、端末側で設定してください。
Windows 11で設定する
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「ネットワークとインターネット」を開く
- Wi-Fiまたはイーサネットを選ぶ
- 「DNS サーバーの割り当て」の「編集」を選ぶ
- 「手動」を選び、IPv4をオンにする
- 優先DNSと代替DNSへアドレスを入力
- 必要に応じてIPv6もオンにし、IPv6アドレスを入力
- 保存
Windows 11にはDNS over HTTPSの設定もあります。対応するDNSを使う場合は「暗号化のみ」または自動テンプレートを選べます。つながらない場合は、いったん暗号化をオフにして通常DNSで動作確認してください。
macOSで設定する
- 「システム設定」を開く
- 「ネットワーク」を開く
- 利用中のWi-Fiまたは有線接続を選ぶ
- 「詳細」を開く
- 「DNS」を選ぶ
- DNSサーバー欄へアドレスを追加
- OKまたは完了を選び、設定を反映
古いDNSアドレスが残っていると、意図したDNSへ切り替わらない場合があります。不要なアドレスは削除し、優先したいDNSを上に置いてください。
Androidで設定する
Android 9以降では「プライベートDNS」を使う方法が扱いやすいです。IPアドレスではなく、DNS over TLS用のホスト名を入力します。
| サービス | プライベートDNSのホスト名 |
|---|---|
| Cloudflare | one.one.one.one |
| Cloudflare Malware Blocking | security.cloudflare-dns.com |
| Cloudflare Malware and Adult Content | family.cloudflare-dns.com |
| Quad9 | dns.quad9.net |
| AdGuard DNS | dns.adguard-dns.com |
| CleanBrowsing Family | family-filter-dns.cleanbrowsing.org |
- 「設定」を開く
- 「ネットワークとインターネット」を開く
- 「プライベートDNS」を選ぶ
- 「プライベートDNSプロバイダのホスト名」を選ぶ
- 使いたいDNSのホスト名を入力して保存
Androidの表示名はメーカーによって少し変わります。見つからない場合は、設定内検索で「プライベートDNS」などと入力して、検索してください。
iPhoneとiPadで設定する
iPhoneとiPadの通常設定では、Wi-FiごとにDNSを変えます。モバイル通信側のDNSまで変える場合は、DNSプロファイルや各DNS事業者のアプリを使います。
- 「設定」を開く
- 「Wi-Fi」を開く
- 接続中ネットワークの情報アイコンを選ぶ
- 「DNSを構成」を選ぶ
- 「手動」を選ぶ
- 既存サーバーを確認し、必要なDNSアドレスを追加
- 保存
ルーターで設定する
家族の端末までまとめて反映したい場合は、ルーター側のDNS設定が便利です。管理画面の項目名は機種ごとに違いますが、「インターネット設定」「WAN」「DHCP」「DNSサーバー」周辺にあります。
- ルーター管理画面へログイン
- インターネット接続またはWAN設定を開く
- DNSサーバーを「自動」から「手動」へ変更
- プライマリDNSとセカンダリDNSを入力
- IPv6設定がある場合はIPv6 DNSも入力
- 保存し、必要に応じてルーターを再起動
プロバイダー提供ルーターでは、DNS変更が制限されている場合があります。その場合は端末側で設定するか、ブリッジ接続した自前ルーター側で管理してください。
設定後に確認すること
DNS変更後は、普段使うサイトが開くか確認してください。広告ブロックやフィルター付きDNSを選んだ場合は、表示崩れや動画再生の不具合も見ておきます。ログイン画面が途中で止まるサイトは、DNSブロックの影響を受けている場合があります。
WindowsではPowerShellやコマンドプロンプトで次のように確認できます。
nslookup example.com
macOSやLinuxでは次の形式で確認できます。
dig example.com
特定DNSへ問い合わせたい場合は、DNSアドレスを指定します。
dig @1.1.1.1 example.com
dig @8.8.8.8 example.com
つながらない場合の戻し方
- DNS設定を「自動」に戻す
- IPv4 DNSとIPv6 DNSを戻す
- ブラウザーのセキュアDNSをオフにして確認
- VPNを切って確認
- ルーターを再起動
フィルター付きDNSで特定サイトだけ開けない場合は、ブロック判定に巻き込まれている可能性があります。業務や学習で必要なサイトが止まるなら、フィルターなしのDNSへ切り替えてください。Cloudflare 1.1.1.1、Google Public DNS、AdGuard Non-filteringが切り分け用に使えます。
よくある質問
DNSを変えると通信速度は速くなりますか?
サイトを開く前の名前解決が速くなる場合があります。ただし、動画のダウンロード速度やWi-Fiの電波強度はDNSでは改善しません。体感差は、現在使っているDNSと端末側のキャッシュ状態で変わります。
どのDNSが最も速いですか?
全員に共通する最速DNSはありません。日本国内の一般家庭ならCloudflareとGoogleを先に試し、危険サイト対策を重視する場合だけQuad9も比べると選びやすくなります。広告ブロックやフィルターを優先するなら、速度より機能を重視してください。
DNSを変えると危険サイトを完全に防げますか?
防げません。Quad9やCloudflare for Familiesなどは既知の危険ドメインを止める仕組みですが、未知の詐欺サイトやVPN経由の通信までは保証できません。
IPv4とIPv6の両方を設定する必要はありますか?
IPv6対応回線では、IPv4とIPv6をそろえて設定してください。IPv4だけ変えても、端末やアプリがIPv6側のDNSを使い続ける場合があります。設定後にDNSリークテストやdigで確認すると、意図したDNSへ切り替わったか判断しやすくなります。
まとめ
パブリックDNSは、速度だけで選ぶよりフィルターの有無で分けると整理しやすくなります。通常用途ではフィルターなしのDNSで接続を確認し、危険サイト対策や広告ブロックが必要になった段階で専用DNSへ切り替えてください。
DNS変更で変わるのは、主に名前解決とDNS段階のフィルタリングです。回線速度や端末性能の問題は残ります。設定前に元のDNSを控え、IPv4とIPv6を揃えて変更し、繋がらないときは自動設定へ戻してください。
参考資料
JPNIC, “DNSとは,” 2013年4月1日. nic.ad.jp
Google, “Get Started | Public DNS.” developers.google.com
Cloudflare, “IP addresses.” developers.cloudflare.com
Quad9 Documentation, “Services.” docs.quad9.net
OpenDNS, “Set Up OpenDNS.” opendns.com
AdGuard DNS, “Connect to public AdGuard DNS server.” adguard-dns.io
CleanBrowsing, “Free DNS Filters.” cleanbrowsing.org
Control D, “Free DNS Resolvers.” docs.controld.com
Microsoft Support, “Essential Network Settings and Tasks in Windows.” support.microsoft.com
