Windows 11は、洗練されたユーザーインターフェースや新しい機能で多くのユーザーに愛用されていますが、設定次第でさらなるパフォーマンス向上が可能です。
本記事では、初心者だけでなく上級者にもあまり知られていない、効果絶大な隠れた高速化設定を10個紹介します。これらの設定を使うことで、日々の作業効率を最大限に引き出し、Windows 11をさらに快適に利用できるようになります。
スタートアップ遅延を無効にする
Windows 11では、システム起動時にバックグラウンドで起動するアプリケーションに「遅延」が設定されています。これは特にPCの起動速度を落とす原因となります。この遅延を無効にすることで、起動後すぐに作業を開始できる環境を作りましょう。
手順
- 「レジストリエディタ」を開くために、「Windowsキー+R」を押し、「regedit」と入力しEnterを押します。
- 以下のパスに移動します:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Serialize
- 「Serialize」キーが存在しない場合、新しく作成します。
- 右クリックして「新規」→「DWORD(32ビット)値」を選択し、「StartupDelayInMSec」という名前で作成します。
- 値を「0」に設定します。
これにより、スタートアップアプリケーションの遅延が無効化され、起動時間が短縮され、レスポンスが向上します。
高性能電源プランのカスタマイズ
Windows 11には複数の電源プランが用意されていますが、「高パフォーマンス」プランが必ずしも最良の選択ではないことを理解しておく必要があります。一般的には「高パフォーマンス」を選択することで、すべての作業が高速化されるという認識がありますが、実際には「バランス」プランでも、必要な時には最大限のパフォーマンスが発揮されるため、多くの場合、バランスプランで十分です。
「高パフォーマンス」を常に使用する場合、PCはリソースを無駄に消費し続けるため、長期的にはシステムの寿命が短くなる可能性があります。特にバッテリー寿命やハードウェアの耐久性に影響を与えることが知られています。そのため、一般的な使用では「バランス」プランが推奨されることが多いです。
さらに、「最大プロセッサの状態」を100%に設定するのではなく、99%に下げることで、ほとんどの状況でパフォーマンスに影響を与えることなく、消費電力を大幅に抑えることができます。この設定により、過剰なリソース使用を防ぎ、PCの寿命を延ばすことが期待できます。
手順
- 「設定」 → 「システム」 → 「電源とバッテリー」 → 「電源プラン」 から 「バランス」 プランを選択します。
- カスタマイズする場合は、「電源プランの設定の変更」→「詳細な電源設定の変更」から細かい設定が可能です。
- プロセッサの電源管理:
- 最小プロセッサの状態:1~10%に設定(アイドル時の消費電力を最小限に抑える)。
- 最大プロセッサの状態:99%に設定(消費電力を抑えながらも、パフォーマンスを維持する)。
- ディスプレイのオフ時間やスリープモード:これも作業内容に応じて適切に設定することで、さらなる電力消費の削減が期待できます。
- プロセッサの電源管理:
パフォーマンスと耐久性のバランス
「高パフォーマンス」プランを選択すると、常にCPUやGPUが全力稼働するため、一部のタスクでは有効かもしれませんが、日常的な使用では無駄なリソース消費が多くなりがちです。バランスプランでは、必要に応じてシステムが自動的に性能を調整し、パフォーマンスと消費電力の最適なバランスを維持します。
「最大プロセッサの状態」を99%に設定することで、CPUの「ターボブースト」機能を抑制し、わずかながら電力を節約できます。この変更によるパフォーマンスの低下はほとんど感じられませんが、消費電力を抑えることで、特にノートPCではバッテリーの持ちが良くなり、デスクトップでも耐久性の向上が期待できます。
スーパーフェッチ(SysMain)の無効化
「SysMain」(旧称:スーパーフェッチ)は、よく使うアプリケーションをあらかじめメモリに読み込む機能です。しかし、特定の環境ではこれがシステムのパフォーマンスを低下させる場合があります。特にSSDを使用している場合、SysMainを無効にすることで、システムの速度を向上させられます。
手順
- 「サービス」を開き、リストの中から「SysMain」を探します。
- 右クリックして「停止」を選択します。
- 「プロパティ」に進み、スタートアップの種類を「無効」に設定します。
これで、SysMainが無効化され、不要なメモリ使用が減り、システム全体の速度が向上します。
NTFSファイルシステムの短縮名生成を無効化
NTFSファイルシステムでは、古いDOSプログラムの互換性を保つために「8.3形式」の短縮名が自動的に生成されます。しかし、現代のシステムではほとんど使われておらず、この機能を無効にすることで、ファイル操作速度をわずかに向上させることができます。
手順
- 管理者としてコマンドプロンプトを開きます。
- 以下のコマンドを入力して、8.3形式の短縮名生成を無効化します:
fsutil behavior set disable8dot3 1
これにより、ファイル操作のオーバーヘッドが軽減されます。
ドライバの自動更新を無効化
Windows 11では、デフォルトでドライバの自動更新が有効になっていますが、特定の場面では自動更新によってシステムの安定性が損なわれることがあります。手動で信頼性の高いドライバをインストールし、自動更新を無効にすることで、システムの安定性と速度が向上します。
手順
- 「スタートメニュー」から「デバイスマネージャー」を開きます。
- 任意のデバイスを右クリックして「ドライバーの更新」→「ドライバーソフトウェアの参照」で手動更新を行います。
- ドライバの自動更新を無効にするには、「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」→「詳細オプション」から「ドライバー更新を無効にする」を選択します。
GPUスケジューリングを有効化
Windows 11では、GPUのハードウェアスケジューリング機能が導入され、グラフィックス処理をCPUからGPUにオフロードすることで、パフォーマンスを向上させることができます。特に、グラフィック処理が多いアプリケーション(ゲームや動画編集)を使用する場合に効果的です。
手順
- 「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「グラフィック設定」を開きます。
- 「ハードウェアアクセラレーションによるGPUスケジューリング」をオンにします。
この設定により、特にGPUに依存する作業のパフォーマンスが向上します。
仮想メモリの手動設定
仮想メモリ(ページファイル)は、RAMが不足した場合にシステムがハードディスクをメモリとして利用する機能です。Windowsは通常、自動的に仮想メモリのサイズを管理しますが、手動で最適化することでパフォーマンスを改善できます。
手順
- 「コントロールパネル」→「システム」→「システムの詳細設定」→「パフォーマンス設定」から「詳細設定」タブを開きます。
- 「仮想メモリ」の「変更」をクリックし、サイズをカスタマイズします。
- 推奨設定:物理メモリ(RAM)の1.5倍から3倍のサイズに設定します。
仮想メモリの最適化により、システムの負荷が軽減されます。
フォアグラウンドアプリにリソースを優先配分
マルチタスク環境では、バックグラウンドで実行されるアプリケーションが多い場合、フォアグラウンドで使用しているアプリのパフォーマンスが低下することがあります。この問題を解決するため、フォアグラウンドアプリにリソースを優先的に配分する設定があります。
手順
- 「コントロールパネル」→「システム」→「システムの詳細設定」→「パフォーマンス設定」→「詳細設定」タブを開きます。
- 「プロセッサの優先度」を「プログラム」に設定します。
これにより、現在使用しているアプリが最も優先的にリソースを割り
当てられ、パフォーマンスが向上します。
アニメーション効果を無効化
Windows 11のアニメーション効果は視覚的には魅力的ですが、パフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。特に低スペックのPCでは、これを無効化することでより軽快な操作感を得ることができます。
手順
- 「設定」→「アクセシビリティ」→「視覚効果」から「アニメーション効果」をオフにします。
アニメーションを無効化することで、操作レスポンスが向上します。
ディスクの書き込みキャッシュを有効化
ディスクの書き込みキャッシュは、データを書き込む前に一時的にメモリに保存することで、ディスクへの書き込み速度を向上させます。特に頻繁にディスクアクセスを行う場合、この設定を有効にすると全体的なパフォーマンスが改善されます。
手順
- 「デバイスマネージャー」を開き、ディスクドライブを右クリックします。
- 「プロパティ」→「ポリシー」タブを選択し、「書き込みキャッシュを有効にする」にチェックを入れます。
これにより、ディスクアクセスの速度が向上し、全体的なシステムパフォーマンスが改善されます。
まとめ
この記事では、Windows 11を高速化するための隠れた設定を紹介しました。これらの設定は、システムの安定性を保ちながらパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。各設定を試しながら、あなたのPCに最適な環境を作り上げていきましょう。